アラン・デュカスのレストランに食材を提供する業者さんたちが集まって、朝市みたいに食材を並べて紹介するというイベントがあり、屋上のテラスに行きました。
「こういう食べ物の面白いイベントには誘ってね?」と、イヌメロ責任編集の取材で招待されるガブちゃんとぴかスに、誘ってもらいます。
買い物ができるかと思いきや試食だけでしたが、卵屋さん、お酢屋さん、トマト屋さん、魚屋さん、甲殻類屋さん、ワイン屋さん、チーズ屋さん、野菜屋さん、肉やさん、ハーブ屋さん、キノコ屋さん、コーヒー屋さんが集結しました。
アラン・デュカスおじさんもニコニコしながら見ています。
すごかったのは、キノコ屋さん。なんだかきれいな感じの若いご夫婦で、築地で世界のキノコを輸入して販売しているそうです。
木箱いっぱいのモリーユ茸やセップ茸、黒トリュフなど、あらゆる種類のキノコが並んでいます。
しかもその状態がとてもいいのです。
買ってきたら冷蔵庫で一日でベチョーっとなってしまうキノコです。
輸入する時の温度管理、湿度管理、時間管理に細心の注意を払ってこの道ウン十年、と言ってました。
それから、青森のハーブやさん。
アラン・デュカスって誰? ベージュトウキョウってなに? みたいなハーブ屋さんに、ある日副料理長から電話がかかってきて、サンプルを送ったら、それ以来ものすごい種類の注文がくるようになったそうです。
ハーブティーをいれてくれましたけど、それはほんとうにフレッシュで美しい香りの美味しいハーブティーでした。
「日々、季節は移ろい、旬も変化している。そんな自然の声をタイムリーに届けることができるように、注文書に『本日のおすすめ』という欄が加わることを心待ちにしている」そうです。
八百屋さんは、初夏の野菜を輪切りにしてはいけない、と教えてくれました。
そうすると、命が死んでしまうのだそうです。だから、皮が薄い初夏の野菜はなんでも縦だけに切って食べると美味しいそうです。
秋が近くなって、皮が少し厚くなってきたら、輪切りにしてもいいんだって。
甲殻類屋さんは、こんなふうに言ってます。
「毎日食材を届けに行くと、フランス人のシェフが必ず握手をして「今日もいい食材をありがとう!」と言ってくれる。」
そして、フランスについてもっと知りたいと思うようになり、ソムリエの資格もとったし、フランス語も勉強しているらしい。
素晴らしいね。
美味しい料理とは、65%が素材で、30%が料理人の腕、5%が才能だとアラン・デュカスは書いていらっしゃるのですが、生産者、調達するひと、使う人の気持ちが、すべてお料理の味になるのですねえ。
なんだか気持ちのいい話です。